ISO 45001 改訂が正式に始動 ― 2025年時点での最新情報
ISO 45001(労働安全衛生マネジメントシステム)の改訂プロジェクトが、国際的に本格始動しています。
ISO/TC 283(労働安全衛生を担当する技術委員会)は、2024年に「改訂承認と作業開始」を公式に発表しました。
すでに改訂ワーキンググループ(WG6)が活動を開始し、今後2027年発行に向けた議論が進められています。
2018年版の発行から7年が経過し、社会的課題の変化に対応する必要性が高まっています。
WG6で議論されている主な改訂方向性は次のとおりです。
心理的健康(メンタルヘルス)・ウェルビーイングの強化
多様性・包摂(Diversity & Inclusion)への配慮
リスクと機会を一体的に扱う柔軟な仕組み化
小規模組織への適用容易化
ISO 9001/14001など他規格との整合性強化
改訂版では、「安全文化の醸成」と「働く人を中心とした柔軟な仕組み」 が主要キーワードになると予想されています。
ISO/TC 283の年次報告 “ISO/TC 283 – 2024 Recap & 2025 Plans” には、
“WG6 has begun work on the revision of our flagship standard, ISO 45001:2018.”
と明記されています【committee.iso.org】。
この文書から、改訂作業が2024年中に正式に始まっていることが確認できます。
さらに、ISOの “Ongoing Projects” ページでは、
“ISO 45001 standard review will commence in July 2024 and is expected to take up to 2027.”
と記載されており、2024年7月開始・2027年発行のスケジュールが公式に示されています【committee.iso.org】。
ISO公式見通しでは、改訂版の発行は2027年を目標としています。
現行ISO 45001:2018を運用中の組織は、次の準備を進めておくことが推奨されます。
メンタルヘルスや多様性を踏まえたリスク評価・方針の見直し
中小組織支援策や文書要求緩和に関する動向把握
審査機関からの移行ガイダンス・改訂セミナー情報の確認
2025年~2026年は「改訂草案(DIS)」発行・意見募集の時期にあたる可能性があり、今後1~2年が改訂対応準備の重要なフェーズとなります。
改訂対応は「早期理解」と「柔軟な体制づくり」から
ISO 45001の改訂は形式上「計画段階」とされていますが、実際には各国の専門家による文書レビューとコメント調整が進行しています。
正式な改訂版発行(2027年予定)に備え、今から組織としての理解と準備を進めておくことが、移行審査を円滑に進める最善の第一歩となるでしょう。
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