2026〜2028 年にかけて、主要マネジメントシステム規格がそろって動き出します。
認証機関として、私たちがお勧めしたいのは「改訂が確定してから動く」ではなく「ドラフト段階から先手を打つ」ことです。
本記事では 2025 年4月末時点で判明している公式情報をもとに、各規格の改訂背景・進捗・今後のスケジュールと、組織が取るべきアクションをまとめました。
改訂背景
2015 版発行後の定期見直し(2020 年)は改訂不要と判断されたものの、DX・サプライチェーンレジリエンス・サステナビリティなど新要求への対応が急務となり、2023 年に早期改訂へ方針転換。WG 29 が改訂プロジェクトを主導しています。ISO Committee
現在の進捗
2024 年に CD(委員会原案)をまとめ、コメント反映版 CD2 が 2025 年1 月に登録。3〜4 月の WG 会合で DIS 原稿を作成中です。
今後の予定
| ステージ | 予定時期 | 参考 |
|---|---|---|
| DIS 公開 | 2025 年中 | WG29 会合資料 |
| FDIS 投票 | 2026 年 5–6 月 | 〃 |
| 発行(第 6 版) | 2026 年 9 月 | ISO Committee |
| 移行期限 | 2029 年(3 年後) | IAF 移行ポリシー想定 |
ポイント : 9001 を土台に統合している企業は、リスクマネジメントや組織のレジリエンス条項の強化を想定したギャップ分析を 2025 年中にスタートしておくとスムーズです。
改訂背景
気候変動コミットメント(ロンドン宣言)の反映と Annex SL 更新への整合が主眼。大幅な条項追加ではなく、既存要求の“意図を明確化”する軽微改訂として Amendment 方式が採られています。ISO Committee
現在の進捗
Amendment 1「Climate Action Changes」が 2024 年2 月に発行。Draft Amendment 2 は 2025 年2 日に DIS 投票が開始され、12 週間の審議中です。ISO
今後の予定
| ステージ | 予定時期 | 参考 |
|---|---|---|
| DIS 投票終了 | 2025 年 5 月 | ISO |
| FDIS 登録 | 2025 年 8 月 | JTC 207/SC1 事業計画 |
| Amendment 2 発行 | 2025 年 12 月 | 〃 |
| 全内容を織り込んだ新版(第 3 版) | 2026 年初頭 | 〃 |
改訂背景
コロナ禍・メンタルヘルス・気候変動など新たな労働安全衛生課題への対応を盛り込むため、2023 年12 月に改訂着手が正式承認されました。ISO Committee
現在の進捗
レビューは 2024 年 7 月に開始予定。プロジェクト期間は 2〜3 年で、2027 年発行を見込んでいます。ISO Committee
今後の予定(案)
| ステージ | 予定時期 |
|---|---|
| WD/初期ドラフト | 2024 年後半 |
| DIS 公開 | 2026 年 |
| 発行(第 2 版) | 2027 年 |
| 移行期間 | 2030 年頃まで(想定) |
現状
医療機器規制と密接なため「頻繁な改訂は業界負担が大きい」との声が多く、ISO/TC 210 は 2020 年に「次回レビューを 2025-01-15 まで開かない」と決定。現行 2016 版は最低でもレビュー完了までは有効です。ISO Committee
補完策
規格改訂を待たず、解釈指針や TS・TR ドキュメント(例: ISO/TS 23485 草案)が並行して整備される予定です。
ポイント : 医療機器メーカーは、国際規制(FDA QMSR・EU MDR 等)が 2016 版前提であることを踏まえ、レビュー結果を注視しつつ技術仕様書で補完されるガイダンスを活用するのが得策です。
先行ギャップ診断 – DIS/DAmd 公開時点で条文差分を洗い出し、複数規格の共通・相違点を同時に整理!
文書体系のフレキシビリティ確保 – Annex SL ベースの統合マニュアルを採用し、条文改番や追補への追従を低コスト化!
従業員教育の段階実施 – 2025 年は管理職・内部監査員向けの「改訂ポイント集中講座」、2026 年以降は現場含めた全社展開へ!
規格改正に関するご質問は、Nemko Japan MS認証部まで、お気軽にご相談ください。 改訂の波を「リスク」ではなく「競争優位のチャンス」に変えるお手伝いをいたします。