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    May 28, 2026

    【第1回】 ISO45001改訂の概要:2027年版発行に向けた背景と検討状況(2026年4月時点)

    ISO 45001は、労働安全衛生マネジメントシステム(OH&SMS)に関する国際規格として、世界中の多様な組織で採用されています。

    現行版である ISO 45001:2018 の発行から一定期間が経過したことを受け、ISOでは同規格の定期的見直し(Systematic Review)を経て、改訂(Revision)を実施することが正式に承認されています。

    ISO/TC 283(労働安全衛生マネジメントを担当する技術委員会)の公表情報によれば、ISO 45001の改訂作業はすでに開始されており、改訂版の発行時期は2027年が目標とされています。

    本シリーズ(全4回)では、現時点でISOおよび国際的な認証・認定の枠組みから公表されている確定情報を基に、ISO 45001改訂の背景、検討状況、及びマネジメントシステム運用への影響について整理します。

    なお、本稿で扱う内容は、最終確定前の情報に基づく整理であり、今後の規格開発過程で変更される可能性がある点にご留意ください。

     

    1ISO 45001改訂の正式な位置付け

    今回進められているISO 45001の見直しは、追補(Amendment)ではなく、全面改訂(Revision)に該当します。

    これは、2018年版の発行以降初めて実施される本格的な改訂です。

    ISOでは、規格発行後、原則として5年ごとにSystematic Reviewを行い、

      • 規格の維持
      • 改訂
      • 廃止

    のいずれかを判断する仕組みが設けられています。

    ISO 45001については、「改訂が必要」との判断がなされ、ISO/TC 283内に改訂を担当するワーキンググループ(WG6)が設置され、作業が進められています。

     

    2.改訂が検討されている背景

    1)労働を取り巻く環境の変化

    ISO 45001:2018が発行された当時と比べ、労働環境は大きく変化しています。

    国際的には、以下のような変化が指摘されています。

    • リモートワークやハイブリッドワークの普及
    • メンタルヘルスや心理的リスクへの社会的関心の高まり
    • 人口構成の変化、多様な働き方の拡大
    • サプライチェーンの複雑化
    • 気候変動に起因する労働災害リスクの増加

    これらの変化は、従来の「物理的安全」を中心とした労働安全衛生管理の枠組みだけでは十分に対応しきれない課題として認識されています。


    2)労働安全衛生マネジメントの役割拡大

    労働安全衛生マネジメントシステムは、災害防止に加えて、

    • 健康とウェルビーイング
    • 働く人の参画
    • 組織のレジリエンス

    といった要素を含めた、より広い概念として捉えられるようになっています。

    ISO/TC 283では、ISO 45003(心理的健康)、ISO 45006(感染症対策)、ISO/PAS 45007(気候変動に伴うOH&Sリスク)などの関連規格を整備してきました。

    今回の改訂では、これらの考え方をISO 45001本体にどのように反映させるかが検討課題となっています。

     

    3.改訂作業の進捗状況(2026年時点)

    公開されている情報によれば、ISO/CD 45001Committee Draft:委員会原案)は2025年に公表され、その後、国際コメント募集が実施されています。

    ISOの規格開発プロセスは、一般的に以下の段階を経て進められます。

      • WD(作業原案)
      • CD(委員会原案)
      • DIS(国際規格案)
      • FDIS(最終国際規格案)
      • IS発行(国際規格)

    ISO 45001改訂については、2026年中にDIS段階に進む可能性があるとされており、最終発行は2027年を目標とするスケジュールが示されています。

     

    4.現時点で示されている主な検討テーマ

    Committee Draft段階の情報や、ISO/TC 283関係者の発信から、次のようなテーマが改訂検討の方向性として挙げられています。

      • 心理的健康・メンタルヘルスの位置付け
      • リモートワーク等、新しい働き方への対応
      • 多様性・包摂(Diversity & Inclusion)への配慮
      • 気候変動に伴う労働安全衛生リスク
      • 外部委託・サプライチェーンにおけるOH&S管理
      • デジタル化・新技術(AI等)による新たなリスク

    ただし、これらは検討段階の論点であり、最終的にどのような要求事項として規格本文に反映されるかは、現時点では確定していません。

     

    5.現時点での留意点

    ISO 45001改訂に関しては、次の点に留意する必要があります。

      • 新しい版は未発行であり、要求事項は確定していない
      • Committee Draftや解説資料は、正式規格ではない
      • 移行期間や認証制度上の詳細は、今後のIAFおよび認定機関の通知で明確化される

    したがって、現時点では具体的な変更対応を決定する段階ではなく、改訂の背景と方向性を理解し、情報収集を継続する段階と整理することが適切です。

     

    まとめ

    ISO 45001改訂は、ISO/TC 283において正式に開始されており、2027年発行を目標とした全面改訂として進められています。

    今回の改訂は、

      • 労働環境の変化
      • 労働安全衛生マネジメントの役割拡大
      • 他のマネジメントシステム規格との整合
        を背景に実施されているものです。

    現時点では、最終的な要求事項は確定していませんが、「形式的な仕組み」よりも「実効性あるマネジメント」を重視する方向性が示唆されています。

    次回(第2回)は、Committee Draft段階で示されている主な変更検討項目について、条文構造の観点から整理します。

    Nemko

    Nemko

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