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    Apr 9, 2026

    【第4回】ISO 9001: 2026移行に向けた準備事項:認証制度上の考え方と一般的対応

    前回は、ISO 9001: 2026改訂が品質マネジメントシステム(QMS)の運用に与える影響について整理しました。本稿では、改訂版への移行に向けた準備事項について、認証制度の一般的な考え方および現時点で想定される対応を整理します。

    なお、ISO 9001: 2026は現時点で最終確定しておらず、移行に関する詳細な要求事項やスケジュールについては、ISOおよびIAF(国際認定フォーラム)からの正式な通知を確認する必要があります。本記事は、これまでの規格改訂時の運用および現時点の情報に基づく一般的な整理です。


    1ISO規格改訂時の移行の基本的な考え方

    新規格発行後、認証制度において移行期間が設定されることが一般的です。ただし、次回改訂に関する移行期間の年数・期限は、現時点でISO 9001向けの確定情報として提示されているとは確認できません。
    また、国際的な認定枠組みの発信主体については、IAF202611日付で運用停止となり、Global Accreditation Cooperationが役割を引き継ぐ旨が公表されています。今後の移行要求の確認にあたっては、Global Accreditation Cooperation等の情報と、国内認定機関・認証機関の通知を参照することが重要です。


    2.移行に関する一般的な流れ

    規格改訂時の移行は、一般的に以下のような流れで進められます。

      • 新規格の発行(ISO公式では20269月予定)
      • 国際的枠組みおよび国内認定機関・認証機関による移行方針の周知
      • 認証機関による移行方針の提示
      • 組織による準備(規格理解、ギャップ分析、計画策定、教育等)
      • 移行審査の実施
      • 新規格による認証への切替

    このプロセスは各認証機関および認定機関のルールに基づいて運用されるため、詳細は各機関の指示に従う必要があります。


    3.移行審査の位置付け

    移行審査は、更新審査またはサーベイランス審査と併せて実施されることが一般的です。ただし、改訂内容の影響度や確認範囲によって、審査時間の増加が必要となる可能性があります。


    4.組織における準備事項(一般的な考え方)

    ISO 9001: 2026への移行に向けて、組織が検討すべき準備事項は以下の通りです。

    1)規格内容の把握

    最も基本的な準備として、新規格の要求事項を正確に理解することが必要です。特にDIS段階の情報と最終版との間には差異が生じる可能性があるため、正式発行後の内容確認が重要となります。


    2)ギャップ分析の実施

    現行のQMSと新規格との間の差異を把握するために、ギャップ分析を実施することが一般的です。

    この分析では、以下の観点が含まれます。

      • 既存プロセスが新規格要求に適合しているか
      • 不足している要素があるか
      • 運用方法の変更が必要か

    ギャップ分析は、移行対応の計画を策定するための基礎となります。


    3)対応計画の策定

    ギャップ分析の結果に基づき、必要な対応事項を整理し、実施計画を策定します。

    計画には以下の内容が含まれることが一般的です。

      • 対応事項の優先順位
      • 実施スケジュール
      • 責任者の設定
      • 必要な資源の確保

    4)文書およびプロセスの見直し

    必要に応じて、品質マニュアル、手順書、記録様式などの文書を見直します。ただし、ISO9001では文書化の程度は組織の判断に委ねられているため、過度な文書改訂は必ずしも必要ではありません。

    重要なのは、実際の業務プロセスが新規格に適合していることです。


    5)教育および周知

    新規格の要求事項や変更点について、関係者への教育および周知を行います。特に、トップマネジメントおよび内部監査員への理解促進が重要とされています。


    6)内部監査およびマネジメントレビューの活用

    移行準備の最終段階として、内部監査およびマネジメントレビューを通じて、新規格への適合状況を確認することが一般的です。

    これにより、移行審査前に問題点を把握し、必要な是正を行うことが可能となります。


    5.移行対応における留意点

    ISO 9001: 2026への移行にあたっては、以下の点に留意することが重要です。

    1)過度な対応の回避

    規格改訂に対して過度な対応を行い、実務に影響を与えるケースが過去にも見られます。要求事項の意図を正確に理解し、必要な範囲で対応することが重要です。


    2)形式的な対応の回避

    文書の改訂のみで対応を完了するのではなく、実際の運用が規格に適合しているかを確認する必要があります。


    3)認証機関との連携

    移行に関する具体的な進め方や審査の取扱いについては、認証機関からの案内に基づくことが重要です。情報共有を行うことで、円滑な移行が可能となります。


    6.現時点での適切な対応

    ISO 9001: 2026は未確定であるため、現時点では以下のような対応が適切と考えられます。

      • 規格改訂に関する最新情報の収集
      • 現行QMSの運用状況の確認
      • リスク管理およびデータ活用の見直し
      • 内部監査の有効性の確認

    これらは、将来の移行対応に備えるとともに、現行システムの改善にも寄与するものです。


    まとめ

    移行審査は、更新審査またはサーベイランス審査と併せて実施されることが一般的です。ただし、改訂内容の影響度や確認範囲によって、審査時間の増加が必要となる可能性があります。


    次回(第5回)は、ISO9001改訂対応における一般的な課題および留意点について整理します。

     

    規格改訂に関するお問い合わせ、セミナーのご用命などございましたら、MS認証部 (japan@nemko.com)までご連絡ください。

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