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    Aug 11, 2026

    ISO IEC 42001【第10回】 AIマネジメントシステム認証に向けて――審査で見られるポイントと準備の進め方

    はじめに

    AIマネジメントシステム認証を検討する企業にとって重要なのは、AIを使っていることそのものではなく、AIに関する方針、役割、リスク管理、運用、見直しが、組織として機能しているかという視点です。ISO/IEC 42001は、AIマネジメントシステムそのものの要求事項を定めた国際規格であり、認証は、その仕組みが適切に整備・運用されているかを確認する枠組みとして理解することが適切です。

    1. AIマネジメントシステム認証を考える意義

    AIマネジメントシステム認証の意義は、単に「AIに取り組んでいること」を示すことではありません。むしろ、AIを継続的に信頼できる形で活用するために、組織の管理の仕組みを見直し、整え、改善する機会として捉えることが重要です。ISOISO/IEC 42001について、責任あるAIの活用や透明性、信頼性の向上を支えるものと説明しています。

    2. 認証の土台となる規格と関連文書

    認証の基礎となるのは、ISO/IEC 42001:2023です。これは、AIマネジメントシステムの確立、実施、維持、継続的改善に関する要求事項を定めた規格です。また、AIリスクの考え方を深めるうえでは、ISO/IEC 23894:2023も重要です。この文書は、AIを利用した製品、システム、サービスに関するリスクを、組織の活動や機能に統合して管理するためのガイダンスを提供しています。

    さらに、認証機関側の審査の信頼性に関わる文書として、ISO/IEC 17021-1:2015ISO/IEC 42006:2025があります。ISO/IEC 17021-1は、マネジメントシステム認証を行う機関に対して、力量、一貫性、公平性などの原則と要求事項を定めています。ISO/IEC 42006は、AIマネジメントシステムの審査・認証を行う機関に対して、ISO/IEC 17021-1を基礎としつつ、AI特有の倫理、データ品質、リスク、透明性などに対応するための追加要求を定めています。

    3. 組織側で整理しておきたいポイント

    認証準備を進める際、まず必要なのは、自社がAIをどう扱っているかの全体像を把握することです。自社のAI利用・開発・提供の範囲、AIに関する方針、役割・責任・権限、リスクと機会の評価、運用手順、変更管理、記録や文書、内部監査、マネジメントレビュー、改善の仕組みなどを整理しておくことが有効です。日本のAI事業者ガイドラインは、AI開発者、AI提供者、AI利用者という役割別に実施事項を整理しているため、自社の実態を洗い出す際の参考になります。

    4. 役割別に見た準備の着眼点

    AI開発者であれば、学習データ、データの適法性や品質、バイアスへの配慮、安全性を考慮した設計、セキュリティ対策、検証可能性、開発記録の文書化などが重要になります。

    AI提供者であれば、実装時のリスク対策、適正利用を支える情報提供、提供後の監視や見直しが重要です。AI

    利用者であれば、利用条件の遵守、入力データやプロンプトの管理、人間による確認、個人情報・機密情報の不適切入力の防止、結果の説明責任、規約遵守などが重要です。こうした立場ごとの管理が、自社の実務に合っているかを説明可能にすることが、認証準備の本質です。

    6. 認証準備を実務改善につなげる考え方

    認証準備を形式的なチェックリスト対応で終わらせると、文書は整っても運用がついてこないことがあります。一方で、AI導入の実態、リスク、責任、説明、見直しの流れを正面から整理すると、認証準備そのものが実務改善になります。たとえば、誰がAIの最終責任者か曖昧である、外部AIサービスの利用実態が把握できていない、重要な業務でAIを使っているが確認手順がない、といった課題は、認証準備の中で明確になりやすい論点です。

    まとめ

    ISO/IEC 42001認証の準備は、AI導入のお墨付きを得るためだけのものではありません。それは、AIを継続的に信頼できる形で活用するために、組織のガバナンスを見直し、実態に合わせて整えていくための取り組みです。本シリーズが、自社のAIマネジメントシステムを整備・見直す際の参考になれば幸いです。

    Nemkoは、ISO/IEC 42001規格に基づく認証、規格解説セミナー、ギャップ分析、内部監査員研修など、ISO/ IEC 42001に関わるサービスを提供しています。

    AIマネジメントシステムの導入や、ISO/IEC 42001への対応をどこから検討すべきか迷われている場合は、MS認証部(japan@nemko.com)までお問い合わせください。記事内容を踏まえたうえで、より詳しい確認やご相談につなげていただけます。

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